2024/05/10
ロボティクス分野で活躍する世界各国の研究者がOSXを訪問
- Point
- ラボラトリーオートメーションをけん引する研究者との意見交換を実施
ロボティクス領域のトップカンファレンス「2024 IEEE International Conference on Robotics and Automation (ICRA 2024)」がパシフィコ横浜で開催(5/13~5/17)されました。その中のワークショッププログラム「Accelerating Discovery in Natural Science Laboratories with AI and Robotics*1」に関連し「Autonomous Lab Tour」が開催され、5/18にOSXを訪問いただきました。
*1:科学的発見を加速させるために、ロボティクスとAI技術を活用した実験プロセスの自動化に向け、新たなシナジーを生み出すことを目的としたワークショップ。ラボツアーではOSXの他に、東京大学 長藤研究室や東京大学 一杉研究室、東京大学 塩見研究室にも訪問。
当日は、イギリス・リバプール大学や、カナダ・トロント大学、ドイツ・ミュンヘン工科大学、デンマーク・オーフス大学などでラボラトリーオートメーション*2 の研究をけん引している、世界有数のロボティクス研究者が参加されました。
*2:ラボラトリーオートメーションとは、創薬研究等において研究員がより創造的な研究に十分な時間を確保できるよう一連の実験作業を自動化する技術で近年、注目されている研究領域です。
ツアーではまず、Principal Investigatorの濵屋 政志が、OSXのロボティクスグループについて紹介を行ないました。濵屋は「ICRA」に限らず、「IROS*3」、「NeurIPS*4」など世界的に著名な国際会議に論文が採択された実績を持ち、今年度よりリーダーとしてロボティクスグループをけん引しています。グループの研究体制や研究テーマを紹介し、開発した技術の実装先として組立作業や調理作業、ラボラトリーオートメーションなどを見据えていることを説明しました。また、OSXが考える近未来のロボットでは、人のあいまいな指示で作業を実現できたり、接触を伴うラスト1センチの作業を遂行できたりすることで、人と共存できるような世界観を目指していることを紹介しました。
*3: IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systemsの略称、ICRAと同様にロボティクス分野におけるトップカンファレンス
*4: Conference on Neural Information Processing Systemsの略称、AI・機械学習分野におけるトップカンファレンス
さらに、ICRA2024でも発表した「しなやかなロボットによる部品挿入作業」のデモンストレーションを行いました。
本研究では、どのように部品を掴んでいるか分からない、または、どこに穴や部品があるか分からない環境においても、ロボット自身が手先で状況を探りながら部品組立を達成することに挑戦しています。
◆ICRA2024で発表した最新の成果はこちらのページをご覧ください
Symmetry-aware Reinforcement Learning for Robotic Assembly under Partial Observability with a Soft Wrist
次に、Senior ResearcherのCristian C. Beltran-Hernandezから「料理ロボットによる一連の調理作業」のデモンストレーションを行いました。Cristianは、ロボット学習とロボットエンジニアリングを専門としています。「キュウリのサラダを作って」という曖昧な言語指示から、「ロボットがキュウリを取る・切る・盛り付ける」といった一連の動作を実現していることを紹介しました。
◆デモンストレーションで紹介した研究成果はこちらのページをご覧ください
Vision-Language Interpreter for Robot Task Planning
OSXを見学した感想をツアー参加者にインタビューしました。
<ミュンヘン工科大学 Hamid Sadeghianさん>
今回、いろんな研究者と交流し、社会に新たな価値を生み出す研究テーマを感じられ、素晴らしい経験でした。ロボットはすでにファクトリーオートメーションなどに多く利用され、生産の効率化に貢献しているだけでなく、より多くのプロセスがロボットに置き換えられると考えています。今後は高齢者ケアやサービス産業などにも活躍していくことが期待できました
Hamid Sadeghianさん
<リバプール大学 Gabriella Pizzutoさん>
ロボティクスとオートメーションは実世界にインパクトを与えると感じました。例えば、ラボラトリーオートメーションにおいては、新しい材料の発見、例えばより持続可能な材料を開発したり、新薬の材料を発見したりするといった課題があり、ロボティクスは実験を加速させるのに役立つと考えています。
<リバプール大学 Hatem Fakhruldeenさん>
ロボットは人々を助けるものであり、人々の仕事を奪うものではありません。ロボットは3D(Dirty:汚い、Dull:退屈な、Dangerous:危険な)と言われる仕事を代替することで社会を助けることができ、人間はより創造的で知的な仕事をする時間を持つことに貢献できると感じました。
Gabriella Pizzutoさん(左)とHatem Fakhruldeenさん(右)
ツアーを通じて、濱屋は以下のコメントを寄せています。
「ツアーでは、我々が開発したロボットを見ていただき、技術的な議論ができ大変有意義でした。特に、我々が注力している分野の一つであるソフトロボティクスに対し、”制御的な柔らかさ”と”機械的な柔らかさ”の違いなどを議論して、”機械的な柔らかさ”の意義に共感いただきました。また、ロボットシステムの改善のためのアドバイスや、とても挑戦的な研究をしているなどの励ましのコメントをいただきました。我々のつくるロボットに対し、より多くの人に期待感をもっていただけるように、今後も研究開発に取り組んでいきます。」
濵屋 政志
今回のツアーは、JST未来社会創造事業「共通基盤」領域 本格研究「マテリアル探索空間拡張プラットフォームの構築」のページでも紹介されています。
ラボラトリーオートメーションの海外研究者を招いたラボツアーが開催されました
OSXでは、大学や社外研究機関との共同研究、インターンシップの採用などを通して、技術革新による価値創出に取り組み、オープンイノベーションによる共創に取り組んでいます。
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