2024/04/07
Human-Computer Interaction(HCI)分野における世界トップレベルの国際会議「CHI 2024」にて、Principal Investigatorの吉田 成朗の研究グループが現地でデモンストレーション発表した「Swarm Body」が、参加者投票で決まる賞「Popular Choice Honorable Mention」を受賞しました。「Honorable Mention」は、第1位の「Winner」に次ぐ賞です。
吉田がけん引する研究グループ「Integrated Interaction Group」では、AI技術を軸とした様々な研究領域の統合・共創から、人と機械、人と人、機械と機械の新しい関係性やより良い状態を設計し、社会的課題の解決や潜在的なニーズを満たす技術や仕組みを提案することをミッションとしています。人の生活空間にロボットを溶け込ませるための技術や、人同士のコミュニケーションを拡張・支援する技術、ロボット同士が協調して動くための行動計画技術など、人・機械を「かしこく繋ぐ」ための研究に取り組んでいます。
今回、CHI2024でデモ発表した「Swarm Body」は、群ロボットを自分の身体の一部として表現するシステムで、群ロボットを自分の手のように感じながら操作することができます。この「Swarm Body」は、遠隔地の人や物に対して、自分の身体の動きや感覚を通じて直接的かつ柔軟に作用できる遠隔コミュニケーションの実現を目指しています。
デモ展示を実際に体験いただいた参加者からは、
「ロボットが可愛いく、自分の手のように感じる。片手で操作しているロボットを両手に分割するのが新鮮で、超能力を得たように感じる。」といった感想や、
「手を動かした距離と群ロボットの移動距離を今は1:1で対応させるのもいいが、人の視線や意図を読み取って、ユーザーの少しの手の動きで群ロボットの手を遠くへ伸ばすことができたり、変形したり、対象物を把持したりできれば、より多彩な応用ができそう」といった次の研究課題につながるような意見をいただきました。
受賞した吉田から、喜びの声が寄せられています。
「本研究は、元インターンの市橋 爽介さん、黒木 颯さん、クラスター株式会社 メタバース研究所、株式会社カラクリプロダクツ、そして弊社各グループを横断したOSXリサーチャー、学際的に様々な分野の皆さんとの連携のもと取り組みました。今回、研究成果のデモ発表を通して、人の身体の制約を超えた新たな体験を提供することができたと感じています。この受賞は、そうした体験の実現に向けて協力してくださった関係者の皆様のおかげです。今後は、人のより精細な動作をロボットの行動に反映できるようにし、これまで以上の身体化体験を実現したいと考えています。」
Principal Investigator 吉田 成朗
ロボットの3Dモデルや基板データ、バイナリ、組立方法などに関する情報はGitHubで公開しています。(Link)
組み立て済みのロボットを購入したい場合は、株式会社カラクリプロダクツまでご連絡ください。
今後もOSXでは、大学や社外研究機関との共同研究、インターンシップの採用などを通して、技術革新による価値創出に取り組み、オープンイノベーションによる共創に取り組んでいきます。
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CHI2024とは
「The ACM (Association of Computing Machinery) CHI conference on Human Factors in Computing Systems (CHI 2024)」は、HCI分野における世界トップレベルの国際会議です。Google ScholarのHuman Computer Interactionカテゴリでも、h5-Indexで最も貢献のある学会にランキングされています。(Link)
2024年は4,028件の投稿の中から1,060件(約26%)の論文が採択され、5月11日から5月16日にかけてハワイ・ホノルルで開催されました。
Interactivityセッションとは
CHIにおけるセッションの一つで、インタラクティブなプロトタイプ、デバイス、システム、インスタレーションなどをデモンストレーションする場です。参加者にデモを体験してもらいながら活発な議論を行うことができます。今年は43件のデモ発表が現地行われ、3,264名の現地参加者が投票を行ないました。