味の感じ方は形状で変わる?不思議なチョコレートの研究

Social Needs
食品の形状と味覚の関係を明らかにすることで、人々の食と味覚の体験をより豊かにしたい。
How
同じ素材・量で作成したチョコレート片において、3Dフードプリンタを活用し形状をデザインすることで、人の味の感じ方を変化させることができる。
What
食品メーカーにおける「形状を工夫することで味を損なわずカロリーを抑えるような食品の開発」や、教育分野における「食品の形状と味の違いを変えて実験することで食と科学の関係を楽しく学べる教育ツール」など新たなビジネスアイデアが期待できる。

我々は、食品の形状と味覚の関係を明らかにすることで、人々の食と味覚の体験をより豊かにしたいと考えています。食品の見た目が味覚に与える影響は以前から知られていましたが、具体的にどのような形状がどのような味覚に影響を与えるのかは十分に解明されていませんでした。本記事では、「チョコレートの形状が味覚にどのような影響を与えるのか?」という疑問に対し調査した研究成果*1を紹介します。

*1: Kazuhiro Ogata, Reo Gakumi, Atsushi Hashimoto, Yoshitaka Ushiku, and Shigeo Yoshida, “The Influence of Bouba- and Kiki-like Shape on Perceived Taste of Chocolate Pieces,” Frontiers in Psychology, June 2023.

実験方法

3Dフードプリンタを使って、4つの異なる形状のチョコレートを作成しました。丸みを帯びた形状(Bouba)と、角ばった形状(Kiki)で、2種類(対称と非対称)ずつです。実験参加者はこれらのチョコレートを試食し、それぞれの味を評価しました。

本研究で使用したチョコレート片

実験結果

多くの参加者が「Bouba」形状のチョコレートを、「Kiki」形状のチョコレートより甘く感じたと回答しました。これは、形状が味覚に影響を与えることを示唆しています。

社会実装に向けて

本研究成果を応用することで、新たな食品開発や教育分野、マーケティングなどへ新しいアイデアを提案できる可能性があります。

健康食品の開発:糖分を減らしても甘く感じられる形状を活用することで、素材や量はそのままにカロリーを抑えた健康的な食品の開発が考えられます。

教育ツール:理科の授業で実験を通して学ぶように、食品の形状と味の違いを試行錯誤することで、科学的実験のプロセス・思考や3Dフードプリンタの使い方を学べる実験教材として期待できます。

革新的スイーツの提案:スイーツの味とデザインに多感覚にまつわる新しい視点を加えることで、レストランやカフェなどで、革新的な新商品を生み出せる可能性があります。

コラボレーション

OSXがこれまでに創出してきた研究成果を、世の中に役立つ技術として社会に実装することを目指しています。本技術やOSXの取り組みにご興味のある方は、下記の問い合わせよりお気軽にご連絡ください。

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