2026/05/22

オムロン サイニックエックス株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:諏訪正樹、以下 OSX)は、「The Conference on Robot Learning (CoRL) 」にて、2件の研究論文が採択されたことをお知らせいたします。
CoRL 2026は、ロボット学習における世界トップレベルの国際会議の一つです。2026年は2,094件の投稿のうち、687件(約33%)の論文が採択され、11月9日から11月11日(現地時間)にかけてアメリカ テキサス州オースティンで開催されます。
CoRL 2026採択論文
■ CLAP: Direct VLM-to-VLA Adaptation via Language-Action Grounding
(日本語訳:CLAP: 言語-行動接地による視覚言語モデルからVLAへの直接適応)
Yuri Ishitoya (Ochanomizu University / OSX Intern), Jeremy Siburian (The University of Tokyo / OSX Intern), Masashi Hamaya (OSX), Haruto Suzuki (OSX Intern), Kuniaki Saito (OSX), Toshihiko Fukushima (OSX), Cristian Camilo Beltran-Hernandez (OSX), Mai Nishimura (OSX)
近年、画像と言語を理解する視覚言語モデル(Vision-Language Model; VLM)の性能が急速に向上し、大規模な汎用モデルがロボットを直接操作する例など、VLM単体が備えるロボット制御の潜在能力が注目されています。他方、既存の視覚言語行動モデル(Vision-Language-Action model; VLA)は専用の行動出力モジュールの追加やアーキテクチャの改変、大規模なロボットデータによる追加学習を必要とし、元のVLMの能力を大きく損なってしまいます。このため、VLMが本来持つ能力のうち何がロボット制御に寄与しているのかを分析することが難しく、VLMの進歩をVLA研究に素早く取り込むことも困難でした。
本研究では、任意の事前学習済みVLMアーキテクチャを変更することなくロボット制御(VLA)へ直接適応させる手法 CLAP(Causal Language-Action Prediction)を提案しました。VLMにロボットの行動を数値トークン列としてそのまま学習させると、出力が事前学習時の言語分布から大きく離れ、本来の能力が損なわれるという課題があります。CLAPでは学習時、数値の行動トークンの前に「前方に3cm移動し、右に15度傾ける」といった自然言語による行動記述を自動生成し、モデルが事前学習時の分布に近い領域に留まるよう促すことで、VLMの能力損失を抑制しながらVLAモデルへと変換することができます。
ロボット操作ベンチマークLIBEROによる評価の結果、2BパラメータのCLAPはわずか4~5時間の事後学習で成功率90.8%を達成し、行動を数値テキストとして直接予測する既存手法VLA-0を14.9ポイント上回りました。また、指示文・物体・空間配置を変化させた頑健性評価(LIBERO-PRO)でも性能が向上し、実機ロボットアームでも有効性を確認しました。0.8B、2B、4BのVLAモデルを公開しており、本成果は新たなVLMを即座にVLA研究の出発点として活用できる研究基盤となることが期待されます。
https://arxiv.org/abs/2607.08974
https://omron-sinicx.github.io/clap/
■ Online Robot Manipulation Error Detection and Description
(日本語訳:ロボットの動作失敗のリアルタイム検出と言語化)
Yung-Shun Chan (National Taiwan University), Kuniaki Saito (OSX), Cristian Camilo Beltran-Hernandez (OSX), Jeremy Siburian (The University of Tokyo / OSX Intern), Masashi Hamaya (OSX), Chun-Yi Lee (National Taiwan University)
ロボットが物体を操作する際に、失敗を検出し、その内容を言葉で説明することは、自律ロボットを安全に実運用するうえで重要です。しかし、従来の手法では、各フレームについて失敗の有無を判定するだけか、動作全体の映像が揃うまで解析できないという課題がありました。本研究では、ロボットの失敗検出を、逐次入力される映像から対象の出来事が起きた区間を特定する、オンライン映像時間接地問題として定式化しました。これにより、動作の進行に合わせて、それぞれの失敗の開始・終了時点と、その内容を説明する自然言語の文章を出力します。
提案手法STREAM-FAILは、過去に観測したフレームの情報を記憶するメモリバンクを用いながら、映像を短い区間ごとに処理します。一般的な映像理解とロボットの操作に関する推論との隔たりを埋めるため、ロボットの動作軌跡データセットを、出来事の発生区間と説明文を対応付けた事前学習用データに自動変換する仕組みを構築しました。この事前学習により、発生区間の特定精度が相対的に73%向上しました。
評価実験では、提案手法は、映像を逐次処理する既存の比較手法よりも、ロボットの失敗が起きた区間を高い精度で特定し、失敗の内容を自然言語で説明できることを確認しました。ロボットの失敗をリアルタイムに検出・説明し、失敗からの復旧につなげる研究を促進するため、自動生成したデータセットと、人手で正解情報を付与した評価用データセット、DETECT-DROID-FAILUREを公開します。
https://omron-sinicx.github.io/Online_Robot_Error_Detection
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