ICML2023で発表した共著論文がOutstanding Paper Awardを受賞

 7月23日よりハワイ・ホノルルで開催された機械学習分野に関する主要国際会議「International Conference on Machine Learning 2023」にて、シニアリサーチャーの小津野将らの共著論文が、“Outstanding Paper Award”を受賞しましたのでお知らせします。1,800件を超える採択論文の中から6件が同賞に選ばれ、その内の1件として共著論文である「Adapting to game trees in zero-sum imperfect information games」が選出されました。
※詳細については、こちら をご参照ください。
※ICML2023での発表論文については、こちらをご参照ください。

 これまで、二人零和不完全情報ゲーム(IIG)を解く場合の情報論的下界を証明した論文はなく、本論文が初となりました。また、ゲーム構造に関する知識が与えられた場合に、その情報論的下界を達成するアルゴリズムを示し、二人零和不完全情報ゲームの解析に一つのマイルストーンを建てたことが評価されました。今後は、ゲーム構造に関する知識が完全にない場合のアルゴリズムに対して改善を行うことになりますが、本論文ではその端緒となるアイデアもすでに示されており、その点でも評価が得られました。

受賞論文

Adapting to game trees in zero-sum imperfect information games

著者

Côme Fiegel*1、Pierre Ménard*2、Tadashi Kozuno*3、Rémi Munos*4, Vianney Perchet*1, 5、Michal Valko*5

*1:CREST, ENSAE, IP Paris、*2:ENS Lyon、*3:OSX、*4:Google DeepMind、*5:CRITEO AI Lab

受賞者コメント

Côme Fiegel(CREST, ENSAE, IP Paris)
I am very honored to receive this award alongside my co-authors, acknowledging the efforts we dedicated to this work. I am hopeful that this recognition will encourage future research in this direction.

小津野 将(オムロン サイニックエックス シニアリサーチャー)
本研究はアルバータ大学所属時から行っていた研究の続きです。アルバータ大学所属時に、計算量的に効率的かつサンプル効率的にもある程度よいアルゴリズムを提案しました。その結果に基づいて、他グループがゲーム構造に関する情報を用いればサンプル効率が改善されることを示しました。そこで本研究では、彼らのテクニックと近年のオンライン学習の知見を用いることで、理論的限界までサンプル効率的に優れたアルゴリズムが達成できることを示しました。さらに、ゲーム構造に関する情報を推定しながら学習するアルゴリズムも提案し、ほぼ理論的限界までサンプル効率的に優れたものであることを示すことが出来ました。
今後は、より巨大なゲームにも適用可能な実用的アルゴリズムの開発や、より有用な理論保証をもったアルゴリズムの提案を行います。

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