OMRON × KYOTO GRAPHIE Special Interview

伝統と革新の街・京都で、ストレンジャーだからこそ生まれるもの

コミュニケーションプラザのエントランス

──コミュニケーションプラザでは、全体のディレクション、映像制作、プロジェクションのプログラミングまで、リニューアル全般を手がけられていますが、みなさんが共鳴したどのようなところが反映されているのでしょう。

仲西:ここには要所要所に、僕たちがオムロンの歴史から読み取った哲学や理念がちりばめられています。オムロンという最先端企業の施設なので、コンテンポラリーであるべきだと思いました。でもどこかに京都らしさを入れたくて、長い路地を入った先にオムロンの世界が広がるようなイメージで、わざと入り口のアプローチは細くして、暖簾をくぐるところから始まるようにしました。

暖簾をくぐると、まずはじめにオムロンの社憲(※5)があり、映像からオムロンをひもとき、オムロンヒストリーを追っていき、下の階では未来へとつながるようになっています。

※5
立石一真が1959年に制定した社憲
「われわれの働きで われわれの生活を向上し よりよい社会をつくりましょう」

KYOTOGRAPHIEを始めて気づいたんですが、京都という街は、行き着く先に何かがあるような、過程というかアプローチを大事にしている。京都の伝統的な建物でも、アプローチから人をワクワクさせていくような仕掛けがあったりして、それを再現したかった。

KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 日本でも数少ない国際的なフォト・フェスティバル。 世界で活躍する写真家の貴重な作品や秀逸な写真コレクションに、寺院や通常非公開の歴史的建造物、モダンな近現代建築という特別な空間で出会うことができる。2013年以来毎年春に開催され、回を重ねるごとに好評を博し、これまでに約25万人の来場者を迎えた。
www.kyotographie.jp





──日本の中でも京都は独特なのでしょうか?

仲西:一真さんは熊本の出身。僕も九州の出身で、京都でKYOTOGRAPHIEを始めました。日本の象徴的とも言える京都の持つ力をうまく生かして、ストレンジャーだからこそできる新しいこともあると思います。KYOTOGRAPHIEも何が京都らしく、何が日本らしいのかという提案をたえず検証しています。京都には伝統の中にも常に新しいものが生まれている歴史があります。伝統を守らなければならないということと、それに対抗して新しいものを作ろうという動きが、常に両極として存在している。そうして京都以外の人が京都の人と何かを生み出したりすることが、京都の街の面白さだと思います。

伝統を守らなければならないということと、それに対抗して新しいものを作ろうという動きが、常に両極として存在している

仲西祐介さん

京都には古い伝統工芸の職人さんがいたり、かたや古舘さんのような、最先端の技術を使って作品を作るメディアアーティストがいたりしますよね。オムロンにも、同じようなものを感じました。しっかりとした歴史がありますが、そこにあぐらをかくことなく、新たなものを創出しようとしていて、そこが京都らしさとつながりました。コミュニケーションプラザでは、オムロンの歴史を見せるだけでなく、京都の伝統的なものと最先端技術を通じ、これからの可能性を見せていけるんじゃないか、と思いました。


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