新規事業の創造による社会的課題の解決
私たちオムロンの存在意義は、「事業を通じて社会価値を創出し、社会の発展に貢献し続けること」です。私たちの身の回りでは、気候変動や高齢化、個人の経済格差の拡大など、社会のあり方に再定義を迫る変化が噴出しています。さらに、その変化速度は今後ますます高まり、そこで起こる社会的課題も複雑化していきます。私たちは、その変化に対応する新たな価値の創出を通じて、複雑化する社会的課題を解決し、私たち自らの手でよりよい未来をたぐり寄せます。
既存事業の枠を超えた価値創出機能の強化を目的に、2018年、イノベーション推進本部(IXI)がスタートしました。IXIの事業創造アプローチのポイントは、「仕組み化」です。個の力に過度に依存した属人的な事業創造ではなく、強固な組織能力(=プロセス+人財)に基づいて、継続的に成功確率を高め続ける事業創造を志向してきました。
創造力豊かな事業構想力と周囲を説得し必要なリソースを引き出す論理力、強烈な推進力とどんな困難にも打ち克つ突破力を兼ね備えた個人はそうそういるものではありません。その出現を期待するのではなく、個の強みを生かし、組み合わせて組織の力に変えるアプローチです。
成功確率を高め続ける事業創造プロセス
新規事業を創造するステップは、以下のとおりです。
これら7つのステップを明確に区切り、ステップ2からステップ7の間に5つのフェーズゲートを設けて、スピードと成功確率の両立を目指したIXIユニークなプロセスを構築してきました。(事業創造プロセス)フェーズゲート*の方法論はすでに世の中に定着しており、私たちのプロセスも枠組みに大きな違いはありません。
*:一般的にはステージゲートと呼ばれることが多い
IXIユニークネスの本質は、その“運用”と、運用を通じて蓄積した“ナレッジ”。そして、そのナレッジをフィードバックしプロセスを進化させ続ける“カルチャー”にあります。
運用・ナレッジ・カルチャーを重視するのは、プロセスという言葉の響きが持つ「決められたやり方に従えばよい/従わなければならない」といった杓子定規な解釈に対するアンチテーゼです。ともすれば、プロセスに縛られて思考を停止させてしまいがちですが、プロセスとは本来、物事を効率よく進めるための組織の共通認識であり、基盤に過ぎません。その基盤の上で、いかによりよいやり方を追求していくのかが大事になります。
何よりも大事な人財の成長
そのためには詰まるところ、私たち一人ひとりがいかに力をつけていくかにかかっています。事業を創造する7つのステップに、高いクオリティでアウトプットしていくのは私たち一人ひとりです。それぞれのステップに「こうすれば上手くできる」という定型の、決まったやり方があるわけではありません。あるのはせいぜい思考法であり、検討手順であり、外してはいけない観点くらいのものです。トライ&ラーンを通じてこれらを身につけるのは私たち一人ひとり。身につけたスキルを磨き続け、IXIに新たに加わる仲間が効率よく修得できるナレッジとして蓄積するのも私たち一人ひとり。そして、そのような価値観を共有し、カルチャーとしてIXIを進化させ続けるのも私たち一人ひとりなのです。
私たちが目指すのは、イノベーションを通じたよりよい社会の実現です。IXIユニークなメソッドで、社会的に意義のある事業を創造し、新たな社会価値と経済価値の創出を追求し続けていきます。